前を走る青い車に抜かされる…
ゲームに出ていない車は、よく知らないのだ。
あの、星のエンブレムも、どこの会社のものか知らない。私が知っている会社は、世界のトヨタとベンツくらいで、ゲームで使っていたのは、アルテさん。
(アルテッツアの事)
青い車の存在など目もとめたことはなかった。
まぁ、そんなことはどうでもいい。今は、バトルに持ち込む為に全開でアクセルを踏んでる筈なのに、なかなか速くならない。何かがおかしい。
事故ってもしかして、後ろからドカン！だったのだろうか？
しかも、普通に走ってるときは気にしなかったが、タコメーターが大変なことになっている。仕事をしていないというより、ぶんぶん揺れまくっているのだ。これはどういうことだろう。とりあえず、ドリフトを下手には狙えないのがわかった。
結果、横滑らしからの立ち上がりでトライすることにしてみた。
というのも、相手との差はまだあんまりないからだ。
コーナーに差し掛かり始める。
まずは、いつもの感覚で、ブレーキを踏みつつ、アクセルを調整しながら、ラインを抜けていく。横滑ら死よりも先に、安定でドリができるかの判断が重要と直前に判断したからだ。案外普通にドリフトできた。ぶつけることなく華麗に抜けると、さっきの青い車が、走っていた。その車のエンジン音は、勝ち切った感の音にしか聞こえない。私が、すぐ後ろに居るのにもかかわらず。
無防備の車の後ろから、スーッと抜けて行って、車を並べると、相手の反応が変わった気がした。相手のコーナーワークが粗くなっている。
人は、プレッシャーで、どこまで落ちるか…というのを目の当たりにした瞬間だった。私がインに入れるコーナーに差し掛かると、グリップを持続して走行、結果、無傷で生還した上、リアル峠初めてのバトルで、勝手しまったのである。
なんだか自信が出た気がした。そう思ってる矢先、あいつがまた声をかけてきた。
続く
