Fairy's Studio制作ブログ

精霊とSimutransアドオン置き場

うぃっふぇ Type SpecL

何時ものコンビニから、何時ものように一人で帰る。
いつも通りの日常。いつも通りの日々。
私は、昔から一人だった。酷い父親をもち、母親さえも後を追うように消えていき、昔の思い出などほぼ無い。学校も安定せず、友達はいないどころか、散々なことになるのが何時もだった。
容姿もコンプレックスしか無い。何か魅力的な所が大きいとか、そう言うのは一切なく、告白されたことなんてなかった。いわゆるフ"スだった。
就いた職業も、家にあるPCをカタカタと打って送るだけの在宅でできる仕事。つまり、誰とも顔を合わす必要がない仕事だった。
酒もタバコもしなかったが、こんな私にも趣味はある。アーケードゲーム。それも、峠を題材にしたあの公道レースゲームだ。開店したらすぐに入り浸り、誰もいない間に帰る。ニートと勘違いされそうだが、在宅だからこそできる離れ業であった。実力は、オンラインでのランクは一番高かったが、全1争いができるほど実力は高くなかった。
今日もゲームをしたいところだったが、今日は違う。現実の車を中古屋に買いに行く事にした。そこそこの貯金がある為、そこそこの代物が買えると思ったからだ。皮肉な事に、合コンや飲み会なんて言うリア充の祭典には一切関わらなかったのが功を成したのだった。
中古屋についた。数少ない非日常である。
ピンからキリまでの色々な車が一列で並んでいた。見たことのあるような時代の迷車や奇抜なデザインの迷車、特に目立つところもなく静かに消えて行ったであろう車など、色々な物が並んでいる。
中古車を買うには、ある程度相談しながら、二週間程度かかるらしい。顔を合わせるのはあまり好きではなかったが、仕方ないと思った。
予算は100万強…どうしてこんなに溜まったか謎だ。リア充>ゲーセンなのだろう…一括で払える私はおかしいのだろうか…
家にある埃を被った駐車場がやっと役に立つ日が来たし、車種や予算も下準備だけは完璧だ。あとは…
人を恐れない勇気だけ…
建物の自動ドアの前まで着いた…ガラス張りの自動ドアは、拒む事なく扉を開ける…
「へい、らっしゃい…嬢ちゃん。あんたが、インプレッサの子かい?」
と、哀愁漂うオヤジのようなのんびりそうな人物が、そこに居た。
電話で話すのは簡単だ。相手は見えないのだから。口がすくむ…
「はい…」
「おっ、ぉう…それでは、資料を…」
よかった。彼に話が伝わったようだ。
資料を渡され、保険などをパパッと決めて、自分が買う実車を見に行った。
思ったよりもデザインが良かった。ヨーロピアンな丸目ライトと、青い車体…そして、かなり大きめのサブランプがかなり主張をしていた。
リアウイングが寂しいが、後で盛れば問題ないだろう…
「IMPREZA WRX STi GDB SpecC TypeRA。年式は2002年。改造歴、修繕歴共に数回あり…本当にこれで良いのか?」
改造歴、修繕歴あり。尚且つ、このモデルのデザインが嫌われ気味だったのは知っていた。だからこそ、これを選んだのだ…自分と同じ境遇のこの子を…
「こ…これで…」
「え~?なんだってぇーー!?」
あゝ…やってしまった…
仕方なく、手でグッジョブでもしてみた…
「本当にこれで良いんだな」
首を縦に振った。大人のやる事ではないが、口が開かない以上はしょうがなかった。